雪 

 

「でもよかったです、今年も旦那さまと、こうして初詣出が出来て」

「元旦では、なかったがな」

神社からの細い路地を歩いている。

「仕方ないです、お仕事ですから。
でも松が取れないうちに一緒に来れただけでも…」

そんな会話をしながら、ふと時尾は足を止め、上空を見上げた。
つられるように斎藤も同じく見る。

「雪か…」

ゆっくりと、時に風に舞われ降りてきている。
それを眺めながら時尾は淡い紅梅色の肩掛けを直す。
通りで、吐く息が白くはっきり見えてきた訳だ。
しばらく斎藤も無言でいたが…

「お前は春が好きなんだろう?」

唐突な問い掛けに、

「え?」

少し驚いたが、時尾は、しばし考える。
やがて…

「確かに桜が咲く春も綺麗で好きですけど、周りが雪化粧になる風景も好きですわ」

こうして旦那様と見れるなら…どんな季節だって。
心の中で、そう付け加え、時尾は一人、頬を染める。
そんな様子の彼女を見、斎藤の口から出た言葉は…

「意外だった」

「何故そのように思われます?」

「……思い出すだろう」

雪は斗南と会津を…。

「……辛い事ばかりでは、ありませんでしたわ…
さ、本当に寒くなってまいりましたわね、急ぎましょう」

早足になる時尾の歩みを止めたのは、ひんやりと伝わってきた感触だった。
自らの手を見れば…しっかりと、繋がれていて、
簡単には解けそうになく…
もう一人の手の主は、面白気に口元に笑みを浮かべると、先に歩き出した。
引かれながら、

「いつも先越されてしまいます」

時尾が呟けば、

「そうでもない、これでも必死だからな」

表情が見えず、冗談なのか、本気なのか、
振り向きもしない斎藤に、
大きい吐息をつくと、こぼれた白い息と広い背中を時尾は見つめた。



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冬なので雪の話を書きたいなぁ…と思っていたんですが、
時尾さんのイメージ壊してしまって、すいませんっ!!
(斎藤先生も、なんですが…)
私の駄文は、放置しておいて…
ぱっCさんが、素晴らしいイラストを
描いて下さいましたv
表情は見えずとも、
雪が降る中、二人の背中から雰囲気が伝わって来ますよね^^
こういうイラスト大好きです♪

ぱっCさん、どうもありがとうございましたvvv

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